フランダースの犬 最終回 セリフ

なつかしの昭和アニメについて語ります。

『フランダースの犬』の最終回

『フランダースの犬』最終回が放送されたのは、1975年の12月28日でした。

年末の慌しい時期。子どもたちは、冬休みのまっただ中。クリスマスが終わった後だったんですねぇ。

『フランダースの犬』といえば、真っ先に目に浮かぶのは最終回のあのシーンです。

厳かな雰囲気漂うアントワープの大聖堂は、ネロがずっとずっと見たかったルーベンスの2枚の絵がある場所。

いつも絵にかかっているカーテンが、今はなぜか開いている。

月の光に照らされて浮かび上がる2枚の絵。

念願だったルーベンスの絵をついに目にすることができたネロ。

吹雪の中、ボロボロの体を引きずって、必死にネロを探し出したパトラッシュが手袋をくわえてやってきます。

雪

大聖堂の床に倒れているネロの顔をなめるパトラッシュ。

気づいて目を開けたネロは、パトラッシュに話しかけます。

「探しに来てくれたんだね、ありがとう。僕たちはいつまでも一緒だね。ずっと見たかった絵を見ることができて、すごく幸せなんだよ」と。

頬を寄せ、絵を見上げるネロとパトラッシュ……。

ネロの最後のセリフ

そして、有名なあのセリフを口にするシーンへ。

ネロがパトラッシュの背中を優しくなでながら、パトラッシュにかけた最後の言葉です。

「パトラッシュ……疲れたろう。僕も疲れたんだ。なんだかとても眠いんだ……パトラッシュ……」

静かに目を閉じるネロとパトラッシュ。

荘厳な雰囲気の昇天シーン

大聖堂の天井に描かれた絵から天使たちがゆっくりと舞い降りてきます。

天使たちはネロとパトラッシュをそっと抱き上げ、天に昇っていきます。

美しい賛美歌とともに。

天使

まばゆい光の中で天使たちに抱えられながら、ふと目を開けるネロ。

パトラッシュも気づき、目を合わせ、微笑みあう。

幸せそうなネロとパトラッシュ。

後から後からあふれてくる涙

この有名セリフとこのシーンは、何度もテレビ番組で取り上げられていますし、いろんなところでパロディ化されているので「見たことアルアル」という方が多いんじゃないかな。

このネロのセリフを耳にすると、条件反射のように、涙がボロボロこぼれてしまう……という人もたくさんいて。

泣き顔

私もそうです。久しぶりにこのセリフを聞いたときの自分の反応がなんとも……。

ネロがこのセリフを口にするときの声がね、とってもあったかくて優しいんですよね。パトラッシュへの愛情がこもっていて。

正直、自分の号泣ぶりにビックリしてしまいました。ここまで泣くかと。もうね、愛犬を亡くしたときと同じくらいに涙があふれてあふれて止まらなかったんです。翌日はもちろん、とんでもなく目が腫れていて。一日中、ひどい顔でした。

余韻が残るアニメ

ことのときは、テレビ番組で取り上げられているものではなく、独りきりでじっくり見たんです。『フランダースの犬』を、改めて。

そしたら、3日間ほど引きずってしまいましたねぇ。『フランダースの犬』の世界を。

ここまで余韻が残るアニメだったとは。

子どものころに見ていたときには感じなかったいろんな感情がわいてきて、胸がいっぱいになっていました。

この数十年の間に2頭の犬と出会い、共に暮らし、そして看取った経験があるから余計に感情移入してしまったのかもしれません。

賛否両論

『フランダースの犬』の最終回には賛否両論あるようです。

「かわいそう……見ていられない」「正直に一生懸命生きてきたのに報われないなんて、ひどい」「希望がなさすぎる」「子どもには見せたくない」といった声が多いみたいです。

当時は、最終回が放送される前に本を読んで結末を知ってしまった人たちから、たくさんの投書が寄せられたそうですね。

「ネロとパトラッシュを死なせないで!」と。

にもかかわらず、ネロとパトラッシュは天に召されてしまいました。原作のストーリーどおりに。

でもね、原作の『フランダースの犬』とアニメの『フランダースの犬』って設定からしてまるで別物なんですよね。

しかも、アニメ版の『フランダースの犬』では、ネロとパトラッシュが死なないほうが自然だったと思うんです。

助かる可能性がいくつもありましたものね。

大勢の視聴者の声にこたえて、死なずに幸せをつかむというラストにすることも十分可能だったのに……。

悲しすぎる結末

ネロが助かる可能性はこんなにあるんです。

まず、アロアのお父さんが落とした財布をパトラッシュが見つけて届けに行ったとき。アロアのお母さんがクリスマスのご馳走をすすめてくれました。

なのにネロは断った。一口も食べようとしなかった。

ここで厚意に甘えてゆっくり休んでいれば、年老いたパトラッシュが凍えるような吹雪の中、ネロを探しに行くこともなかったでしょう。ヨロヨロとふらつきながらも、ネロを探す健気なパトラッシュ……。このシーンは、正直見てるのキツイです。

何より、木こりのミシェルおじさんがネロを引き取って一緒に暮らすことになっていたんですよね。コンクールの結果が出たら迎えにくると。

だけどネロは……。

そして、ヌレットおばさんです。クリスマスのお祝いをしに戻ってくると、ネロと約束していました。約束どおり、ヌレットおばさんは来てくれたのに、ネロはすでに吹雪の中でした。

さらにさらに。コンクールの審査員がネロの絵の才能を認めていました。なんと、ネロがずっと憧れていたルーベンスに匹敵するほどの才能があると!!ネロを引き取って絵の勉強をさせたいとまで考えてくれていたんですよ。

このことをネロに知らせることができていたら、絶対に死ななかったよね。絶望から歓喜への大逆転だもの。

だけど、この知らせはネロには届かなかった。間に合わなかった。悲しすぎる結末。

『フランダースの犬』のサクセスストーリーバージョン。見てみたい気がするなぁ。夢を叶えたネロの笑顔に感動する人、たくさんいると思う。

『フランダースの犬』の後日談を発見!

なんと、『フランダースの犬』の後日談があることを発見しました。

『ネロの木靴―「フランダースの犬」ネロはなぜ自殺したのか』という、かなり衝撃的なタイトルがついている本です。

自殺という文字がありますが……。原作では、ネロは自分の意思で死を選んだということになっているんです。

先に書いたように、ネロの最後のセリフはこうでした。「パトラッシュ……疲れたろう。僕も疲れたんだ。なんだかとても眠いんだ……パトラッシュ……」

ところが、原作では、「一緒に死のう」とパトラッシュに話しかけているんです。

『ネロの木靴―「フランダースの犬」ネロはなぜ自殺したのか』は、アロアがネロの死を振り返るという設定でストーリーが進んでいきます。結婚して母となり、穏やかな環境で幸せに暮らしているアロア。

ネロの死の真相を知ったアロアの心境は……いかに。

生きることと死ぬこと。希望と絶望。幸せと不幸。安心と不安。

そして、命とは。

私たちが心の奥底で感じながらも、見て見ぬ振りをしてしまいがちなテーマ。

『フランダースの犬』は、ただ単に心優しい少年と賢い犬の感動的な物語というだけでは決してないですね。大人になったからこそわかる、深くて重みのあるお話。

やはり、名作です。

パトラッシュが…

『フランダースの犬』に関する本はたくさん出版されているんですよね。表紙の絵を見ていると……何、これ。もはや、パトラッシュが何犬かわからないくらいにいろんな犬の絵が描かれていました。真っ白くて、毛が長くて、目が隠れちゃってる犬もいます。

私はやっぱり、子どもの頃に見ていたアニメのパトラッシュが好きだな。


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少女の頃、テレビにかじりついて見ていた昭和のアニメたち。なつかしいだけじゃない。今だからこそ味わえる新たな感動で胸がいっぱい。